茂り、そして土に帰る 2017-2018

2018年が始まりました。

今年は戊戌(つちのえいぬ)。毎年、今川の農協でゲットしている「農事暦」によると、戊は「茂る」の意味とあります。つちのえは土の気だから、「茂る」という土っぽいイメージを持っているのはなんとなくわかります。でもその真意はどう考えても、の文字形遊び。干支の意味合いってのはたいていこんな感じ。の方角が西になるのも、形が似てるからということらしいです。また酉年は「醸す」の意味があるそう。2017年のみなさんは醸されましたか。ちなみに「」はなにかというと、「万物が消滅して土に帰る」とありました。ははあ、「イヌ」と古語の「去ぬ」(ナ行変格活用)がかかってるのか〜。やっぱりダジャレ。

2017年の西荻をふり返ってみようかな。

3月19日の第2回西荻ラバーズフェス。初年度に実行委員メンバーとして立ち上げに参加した私たちは、2年目は実行委員はやらず、ボランティアスタッフとして、テントの設営撤去から、トイレのペーパー交換など、めちゃ地道なことをやっていました。開催前日、原っぱ公園に仲通りアーケードのハリボテのピンクの象がいきなり来てびっくり。ピンクの象交代で先代ハリボテはそのまま廃棄になると聞き、フェスボランティアの合間に一時保管場所を探すなどしました。その後、佐渡に行った経緯等は、当HPで報告した通り。ここここを御覧ください。

ピンクの象だけでなく、西荻にあるなじみの風景が少しずつ消えました。3月に西荻デパート、7月末に西荻北の銭湯・天徳湯が閉店。旧府道の「のみ亭」は、マスターのやっちゃんこと高杉康史さんが7月に亡くなられ、おしまれつつ閉店。11月の「続・西荻案内所」で映像作家の和久井幸一さんが案内人の日の夜、和久井さん撮影のやっちゃんの映像を見にいろんな方がいらして、そこで高杉さんの人柄にあらためて触れることができました。

じゃがいもドーナツのぱたーたさん。ある日、某沖縄定食屋に入ったら、ぱたーたの長屋さんがとなりで食事をされているタイミングにたまたま出くわし、いろいろ話を聞きました。ドーナツ屋さんはもうやらないこと、レシピは売ったこと、買った人が「ぱたーた」の名前で店をやることはないことなど。いつ会ってもサッパリとしていて、時に励まされたり。本当にお世話になりました。

3月に「かがやき亭」店長の福田恭子さんが病気で亡くなられました。福田さんは西荻案内所オープンの日にでっかいパキラを持ってきてくださったり、西荻検定試験にも二度ともチャレンジしてくださったりと、私たちのことをずっと応援してくださっていました。福田さんが亡くなり、かがやき亭は食事の提供ができない状態でしたが、4月に隣の店の火災の延焼で店舗をなくしてしまった「佐藤家の食卓」さんが6月からかがやき亭とコラボし「かがやき亭 with 佐藤家の食卓」としてどちらも営業再開となりました。

8月に急病が発覚し閉店を余儀なくされたノア画材の堀本さん、同じ場所で同じく額屋さんの「Atmosphere」が12月よりオープンしました。堀本さんは店舗ひきつぎがほぼ整ったころ、逝去されたとの連絡をいただきました。小さな額をつくって西荻内外の作家さんたちに喜ばれていた堀本さん。作品に額を合わせるのでなく、額にインスピレーションを受けて作品が生み出される。そんな、作家さんたちの創造力を喚起する魅力ある額でした。ご冥福をお祈りします。

12月、「アロマフレッシュ」の珈琲翁・安藤久蔵さんが亡くなられたと連絡をいただきました。私と安藤さんとの出会いは、フリーペーパーの「西荻丼」で、安藤さんの波乱の人生を連載インタビューしたことから始まります。安藤さんとの出会いがいなければ、そもそも西荻案内所なんて始めていなかったでしょう。私のみならずいろいろな人の人生を変えていった安藤さんにあらためて感謝。ありがとうございました。

年末に入ってきた情報としては、駅北口の鳥一さんが2017年の年内閉店、そして長らく西荻窪駅前の顔だった喜久屋商店さんは2018年2月末閉店。喜久屋さんはそのあと建て替えとのことですが、喜久屋さんの立地は都市計画道路区施行優先整備路線である補助132号線にかかっているので、そのまま素直に建てると、現店舗のほとんどと隣のすき家の一部は計画にかかります(上記リンク先の平面図PDFを見てね)。リンク先のPDFでは、南口のほうにも計画線が入っていて、今後、駅周辺がダイナミックに変化することが予想されます。

閉店したパイナップルラーメンの「パパパパパイン」は12月末に町田で再オープン。11月閉店の焼菓子「モイスェン」は仙川に移転。新たな街のお店にも行ってみたいです。馴染んだ味に出会えるのはうれしいですね。
そんな中、駅前のdila西荻窪の跡地に、スーパーの紀ノ国屋がオープン。そうそう、オープンといえば、西荻案内所があった同じ場所にジェラート屋の「mondo gelato」も。おいしくってけっこう食べに行ってます。

お店とは関係のないところでの事件としては、10月の遅乃井の復活がありました。善福寺公園の源流「遅乃井」は、すでに枯れていて、今は地下深くから水を汲み上げそれを人工の滝から流している状態でした。しかし10月の台風の大雨の影響で地下水位が上昇したのか、上池遅乃井付近の広場や崖地のあちこちから、水が湧き出すという近年まれな状態に。すでに湧水は止まり、元の通りになりましたが、かつてはこんなふうだったのかと、いにしえの風景を彷彿とさせる湧水の姿に、自然の神秘を感じました。2016年の西荻ドブエンナーレでもフォローしていた(このリンク先の001番)だけに、なんとも感慨深いです。

かなしいニュースも多かったけど、それでもあらたな息吹があちこちに芽生えています。
けっして今のままずっと変わってほしくないというわけではなく、街の変化を受け入れながら、西荻を楽しんでいきたいと思っていますよ。

昨年の西荻案内所の活動としては、2月ころにインド料理店ガネーシャガルの応援企画、5月のゴールデンウィークには天狗湯さんをつかっての子どもイベント、6月のチャサンポーは一欅庵さんの洋間をつかって西荻で活動するさまざまな方にインタビューした「西荻のメディアと場」展示、そして9月からは西荻のピンクの象を介した佐渡の人たちとの交流、11月には多くの人に関わっていただいた「続・西荻案内所」。個人的には、まさかのムード歌謡歌手「善福ジゴローとヒマナンデス」としてのデビューもありました。

というわけで2018年上半期の西荻の予定。
2月末に喜久屋さんが閉店
そして3月18日の西荻ラバーズフェスが3回目にして最終回。今年は実行委員でもなくボランティアでもなく、お客さんで参加します。最後の西荻ラバーズフェスを楽しみたいです。
みんなの夢水路」として再整備が進んでいる善福寺公園の水路工事が3月下旬ころに完了。親水エリアとして再オープンします。それから6月下旬ころに杉並区長選挙。ほか、毎年のイベントやお祭りは「西荻まち歩きマップ2017」に書いてあるのでそちらをチェックしてください。

茂り、そして土に帰る」年まわりってなんだろう。今年はどんな1年になりますやら。

みんなの夢水路になる通称おそのい川

3 Thoughts to “茂り、そして土に帰る 2017-2018

  1. Re:Q

    …とはいうものの、知っている西荻の景色がぽつりぽつりと消えていくのはちょっと寂しいですね。

    1. nishiogi_info

      コメントありがとうございます。消えていくと寂しいながらも、そこに以前なにがあったのか、すぐ忘れてしまうこともよくあります。
      東京の風景は変化が早いですね。

  2. […] 追記(ちなみに2018年は、茂り、そして土に返る年でした。いかがでしたか?) […]

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