ブレヒトの芝居小屋が移転でクラウドファンディング開始

ブレヒトの芝居小屋が移転

練馬区関町にある劇場・ブレヒトの芝居小屋が2019年3月で閉じることとなりました。大家さんのご事情とのことで仕方ないのですが、もともとは映画撮影スタジオだった場所を、劇団「東京演劇アンサンブル」が借りて自ら改装。以来約40年、同劇団の拠点として数々の舞台を創作してきた場所です。

ということで、劇団の移転と、新たに人が集う場(つまり「新しい芝居小屋」)を目指して、クラウドファンディングを始めています。

東京演劇アンサンブルは移転します

東京演劇アンサンブル

関町なら西荻の隣だけど、西荻関係じゃないじゃん? とお思いかもしれません。でもちょっと聞いてください。

もともと演劇のチラシやパンフレットを作っているワタクシ・西荻案内所の奥秋は、東京演劇アンサンブルのチラシ等をつくっていました。

東京演劇アンサンブルはもともと、俳優座養成所の三期生が集まってつくったチェーホフ研究会(のち劇団三期会)に端を発しています。チェーホフ劇の研究をきっかけに、ドイツの劇作家ベルトルト・ブレヒトの作品をおもに上演する「東京演劇アンサンブル」へ。ブレヒトやチェーホフ、アーノルド・ウェスカーのほか、久保栄など日本の劇作家の作品また、宮沢賢治や坂口安吾などの小説の舞台化などを経て、新たな劇団メンバーもどんどん加わり、近年ではドイツ現代劇の本邦初演や、国際共同制作の舞台を作るなどしています。身近なところでは、子供向けの芝居も多く、毎年全国の学校を巡演しています。子どものころすでに東京演劇アンサンブルの舞台を見ている人、実はけっこういるはずです。

 

ピンクの象を運んだトラック

さて、学校巡回の旅公演に必要なもの。それはさまざまな場所を短時間で劇場にすることができるノウハウと、巡回場所に大道具を運ぶトラックであります。

第1回西荻ラバーズフェス開催の折、メインステージの土台をどこかに頼まなければ、というのでチラシ製作等で個人的に縁があった東京演劇アンサンブルにお声がけをし、つくっていただくことになりました。なにしろ近所ですし、なにもないところにステージをつくるのはお手のもの。その後、第2回・第3回のフェスでも、東京演劇アンサンブルがメインステージの土台をつくっています。

そして、昨年9月、私たちがピンクの象を佐渡に運ぶことを決め、運搬トラック探しをしていた折に「ちょうど空いてるからいいよ〜」と言ってトラックを出してくださったのが、東京演劇アンサンブルのみなさんでした。ハリボテの象を佐渡に運ぶという奇妙なミッションを、すんなり受け止めおもしろがってくれる劇団の人たち。おかげで無事に佐渡まで届けることができました。東京演劇アンサンブルがなかったら、佐渡に象を運ぶミッションは数段ハードになっていたでしょう。写真は、高さがどうしても入らず、ナナメにして、しかも脚の保護のために上下さかさまにして載せられたピンクの象。

そのままだとどうしても入らず。逆さでナナメ入れ。

 

移転先はどこ?

立派な公共劇場がたくさんある昨今、自前の劇場がなくてもいいじゃないか、という意見もあるかもしれない。あるいはどこだって、劇場になる。人がいて、劇場になる。それはそうなんだけど、最近の劇場にはないなにかが、ブレヒトの芝居小屋にはあります。それってなんだろ、あやしいかんじ、かな。演劇に必要な「実験精神」って、こういう場所で育まれるんじゃないでしょうか。

「劇場は自由だ!」とそれらしく言うこともできるわけですが、自由な劇場なんてものはありません。規制だらけ。でも腰を据えてなにかと向き合う場所があるというのは、創作において圧倒的に有利。ブレヒトの芝居小屋と同じような場所がまだあるだろうか。見つかったらいいな。

移転先は現在探し中とのことで、もし心当たりなどあったら西荻案内所までご連絡ください。劇団担当者にお伝えします。倉庫や工場などで、劇場・スタジオ・稽古場に転用できそうなところとか。

今後の予定。

毎年12月の恒例クリスマス公演『銀河鉄道の夜』もブレヒトの芝居小屋で上演されるのは今年が最後。学校巡回でも上演されているレパートリーです。宮沢賢治作の児童文学の名作を、最初に舞台化したのが東京演劇アンサンブル。演出は長年この劇団を牽引してきた広渡常敏、音楽は日本の劇音楽をリードしてきた林光(いずれも故人)。会場の武蔵関へは西荻から自転車で行けることもあり毎年観てます。

決して戻ることはないジョバンニの旅を追体験し、芝居小屋を出た冷たい空気の冬の夜、さっき聞いたばかりの林光のソングをうろ覚えで口ずさみながら自転車で西荻に帰るのも、これが最後かもしれない。

その前に、9月7〜17日にはブレヒト作品『トゥランドット姫あるいは嘘のウワヌリ大会議』を上演。
西荻案内所活動を続ける上でときどき、ブレヒトの『セチュアンの善人』が頭をよぎります。僕らをなぐさめ励まし、時に笑い飛ばすベルトルト・ブレヒト。今回の舞台も楽しみです。

参考・リンク

東京演劇アンサンブル
http://www.tee.co.jp/

キャンプファイヤーのプロジェクト
『ブレヒトの芝居小屋』に変わる、新しい演劇の発信・人が集う文化の場をつくる!
https://camp-fire.jp/projects/view/84498#menu

 

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