ニシオギ水ノオト

善福寺池下ノ池

毎年冬に多くの渡り鳥が羽を休める、自然豊かな善福寺公園下ノ池。最近はあまり耳にしなくなりましたが、「新池」とも言われていました。北側のボート池に対しての「新池」です。実はこの池は、もともと池ですらなく、あとから整備されたものなのです。

現在の下ノ池はもともと、川と田んぼでした。井荻町の土地区画整理に着手した内田秀五郎らにより、郷土の自然環境を維持・保存をする目的で「善福寺風致協会」が発足したのが昭和9年。周辺の宅地化に伴い、都市公園として整備されていきました。その中で昭和14年頃、現在の下ノ池周辺の用地確保がなんとかなり、戦争の泥沼へとひた走る昭和17〜18年頃に、下ノ池は整備されました。

しかしながら、そのような時代の趨勢もあり、当初は荒れ放題だったようです。戦後の混乱から落ち着きを取り戻した昭和36(1961)年、善福寺池は「都立公園」としてスタートしました。

今では信じられないかもしれませんが、完成当時は「自然破壊」との声もあったそうです。本当の自然とはなんなのか。なにをもって「自然」とするのか。今にもつながる問いがここに潜んでいます。

昭和33年の下ノ池
昭和33年の下ノ池