ノア画材さんのこと。

西荻まち歩きマップ2017、本日ようやく、全店舗への配布が終わりました。

ここで地図番号62番のノア画材さんのことをちょっと書いておきます。
私たちのところに緊急の連絡が入ったのは8月なかば、ちょうどマップのデザイン、校正作業が終わり、印刷所に入稿してほっと一息ついていたころのことです。 その連絡は、ノア画材さんの知り合いの編集者の方より、ノア画材さんが急病の治療で廃業を余儀なくされること、お店を工作機械や商品ごと居抜きで引き継いでくださる人を探せないか、という内容のものでした。
ああ、また、西荻窪の、当たり前にずっと続いてくれると思っていたいいもの、いいお店がなくなってしまうんだ……というショックとともに、なんとかできないか、という気持ちで心当たりを探す日々が始まりました。
とはいえ、額縁を作るのは職人仕事で、お店ひとつ構えることができる人を、短期間で探すのは難しいこと。ノア画材さんにも承諾を得て、SNSで呼びかけることにしました。

この呼びかけ、びっくりするほど拡散されたのです。それは、西荻窪で30年以上額縁を作り続けてきたノア画材さんに、どれだけ沢山の人がお世話になって、頼りにしてきたかという証なのでしょう。 拡散にご協力いただいた方に、心からお礼を申し上げます。
そして、たくさんの人がこの呼びかけを見た結果、なんと、ノア画材さんを引き継ぐのにぴったりの方たちに巡りあうことができました。

11月から、ノア画材さんのあったその場所で、新しく額縁屋さんがオープンします。 屋号は「Atmosphere」だそうです。 お会いした印象ですが、とても誠実で、ものづくりに情熱を持った職人さんたちのようです。
お預かりしたフリーペーパーは、木土藍楽さん、雑貨食堂六貨さん、ヨロコビtoさんで見ることができますよ。額装の相談をしてみたいな、と思う内容です。 今からとても楽しみです。
そして、無事引き継いでくださる人を見つけて、治療に入られたノアさんのほっとした表情が忘れられません。

「Atmosphere」の社長さんがノアさんにこう訊ねていました。「大丈夫です、きっとお元気になってまた額が作れるようになりますよ。だけど僕たちがここを継いでしまったら、額を作る場所がなくなるのでは?」ノアさんが「そうしたらあんたたちのところでアルバイトさせてもらおうかな」と。そんな日が早く来ますように。

マップを作って5年。お店も人もどんどん移り変わるけれど、このまちを味わい深くしている根本的なものは変わっていないし、新陳代謝しつつ、続いていくのだ、と信じられるような嬉しい出来事でした。

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