西荻ドブエンナーレ

第二松庵川

西荻窪駅の南側を流れる暗渠といえば、松庵三丁目から高井戸第四小学校や慈宏寺方面に下り、環八に抜けていく「松庵川」が有名です。しかし、駅の南側エリアに実はもう一本、私たちが「第二松庵川」と呼んでいる暗渠があり、それがまさにここなのです。

松庵川に比べれば、流路も細く短く、決して変化に富んでいるわけでもないので、まさに「第二」、脇役のような存在です。

西から東に並んで流れる松庵川と第二松庵川。高校まで剣道部だった私には、よくよく見るとこれらが、「二本セットの日本刀」(駄洒落ではありません)のように見えてしまうのです。長い打刀(うちがたな)が松庵川、ちょっと短い脇差(わきざし)が第二松庵川。

やっぱり主役は打刀かもしれませんが、脇差は脇差のよさもある。

太刀を持つことがある種の特権だった江戸時代ですが、脇差ならば武士でなくても、百姓町人にも携帯が許されたということです。そう思うとなんだか、庶民の味方というか、みんなのお守りというか、権力へのレジスタンスというか、圧倒的に「こっちがわ」な感じがしてきますよね。脇差も、第二松庵川も。

さてさて第二松庵川にある「暗渠サイン」(暗渠の存在をほのめかすもの・暗渠を探す際の手掛かりとなるもの)といえば、殆ど車止めばかりです。しかも「【ホネだけ】タイプ」の、その中でも最もシンプルな「Iの字」のみ(「車止めポジショニングマップ」参照)。まさに質実剛健、無骨で愚直。それでもいいんです。「お守り」ですから。なんてことを考えると「Iの字」車止めが脇差みたいに見えてきませんか。

この先、第二松庵川の細く薄暗く続く暗渠道は、たくさんの脇差に守られて今日も安泰。近所のネコも、安心してお昼寝しているかもしれません。(文責:髙山英男)

車止めポジショニングマップ
車止めポジショニングマップ