来たる9月16日(土)11時30分〜13時、あのハリボテのピンクの象(通称二代目)が、再び西荻窪駅前に。「二代目ピンクの象さんお別れ会」を開催することは、すでにこちらの記事に書きました。
今年3月18日の電撃引退そして新象(三代目)への交代、その翌日19日の西荻ラバーズフェス会場での展示とお別れ会のあと、そのまま廃棄される予定でしたが、現在は区内某所にて一時保管されています。もともとの段取りをひっくり返してしまったのに、こころよくOKしてくださった商店会長さんはじめ関係者のみなさまにあらためて感謝いたします。
そうやって予定より約半年長く生きながらえてきた二代目ですが、いよいよ今回が最後のお披露目となります。再び駅前に来るからといって定位置に戻るわけではありません。老朽化も進み、軽量安全な新象となったことは、時の流れで仕方がないことと思います。しかしながら、あまりに突然の別れに、たかがハリボテとはいえ「ピン象ロス」となった方も多いのではないでしょうか。30年以上に渡りアーケードにぶら下がり、西荻の人たちをなんとなく見つめてきた異形のハリボテ象、竹細工の空洞の内に、いろんな人の想いをつめこんでいた。そんな気がしてなりません。
そう、あいつは竹細工なのです。ぶら下がっていたころはあまり意識していなかったのですが、保管場所に入れる際にちらりとヤツの腹をのぞき込んでその職人技に気づきました。
西荻案内所では、商店会さんに残る資料から「二代目」の製作者を辿っていましたが、一番有力と思われた職人さんはすでに鬼籍に入っておられ、お話をすることはかないませんでした。
高度経済成長期、竹製品がプラスチック製品に代替していく中で、一部の竹職人たちは、竹をつかった巨大造作物をつくることで生き残ってきました。大企業の正月飾りやイベントのシンボルなど、東京という街ならではの、巨大なエネルギーを象徴する造作物が、実は昔ながらの竹細工だったのです(写真は竹清堂さんよりお借りした保険会社本社に設置された正月飾りの写真。全長15メートルの大作)。
大型の造作物は、使用が終わったあと保管がされる機会は多くありません。そのなかで西荻のピンクの象は、竹細工には珍しい超長期運用だったのです。二代目象の製作年代は平成元年ころと思われますので、こういった造作物が竹細工から新素材や発泡スチロールに変わっていく時期にあたっていたようです。
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区内での一時保管のあいだ、二代目ピンクの象をどこかに保存/運用してくださるところはないか、そんなことを考えていましたが、実際の象の老朽化もあり、そう簡単にはいかないだろうと思っていました。しかしその矢先、象を受け入れてくださるという方があらわれたのです。
その受け入れ先は新潟県佐渡市。フェリーで行く、金山の島、トキの島。おけさの島。
2年半ほど前、西荻案内所が佐渡の「羽茂温泉」で講演会をさせていただいたことがあります(こちら)。そのほかいろいろなことがあってご縁ができた佐渡在住のTさんにだめもとで連絡をしたところ、「置く場所ならあるし、お祭りごとに使えるし、必要に応じて修繕もできるんじゃないかな」というお返事をいただいたのです。
というわけで、ピンクの象は16日の西荻窪駅前イベントのあと、廃棄はされずに、新潟県佐渡市に運ばれます。予定ではその日のうちにフェリーで佐渡ヶ島に入り、翌9月17日と18日に開催される本のイベント「ハロー!ブックス」会場で展示されたのち、佐渡の方たちの手によって、リニューアル・改修がほどこされ、主に佐渡・羽茂地区のイベント等で活用される予定です。
無茶なお願いをこころよく引き受けてくださった佐渡のみなさん、わがままをきいてくださった西荻の商店会のみなさん、一時保管先となってくださったNさん、関係のみなさまにあらためて感謝!
なお、ピン象の佐渡行きは逐次レポートしていく予定です。