第13回 あなたの公-差-転【西荻のメディアと場】

 

西荻のメディアと場

あなたの公-差-転

太田エマさん
佐野佳子さん
宮川緑さん

公 public + 差 difference + 転 change

さまざまな人が行き交うまちの「交差点」。

立場や考え方が違う人が出会うことで生まれる関係性の変化。

パブリック=公共とはなにかを問いかける。

 

「あなたの公-差-転」とはどんな場所なのでしょう。
善福寺4丁目、青梅街道沿いにある和田ビル4Fに、2015年4月にできた空間です。現在は8人のメンバーが運営しています。メンバーはアーティスト、デザイナー、ケアワーカー、学生、カフェのマスターなど。年齢・国籍も様々なメンバーで運営しています。

どんなことをやっていますか。
Kosatenではさまざまなプログラムがあります。集めた素材を自由に使って表現する「オープンアートの日」が月1回。立場の違う様々な人と対話をするために、その関わり方を試行錯誤する「対話の実験室」が2ヶ月に1回。日本在住外国人がそれぞれ直面している問題を語り合う1ofUミーティングや、日本語の習得を必要とする人と英語・他の外国語の習得を必要とする人が、同じ場所に集まってお互いの言語取得の手助けをしあう「mouth to mouth」、杉並聴覚障害者協会の先生による手話レッスン、映画を見てのディスカッション、それから料理をみんなで作り、食べる会もあります。Youtubeでアップしている「ラジオKosaten」では主に、日本在住外国人はじめマイノリティの話をきいて、つながりを作っていく作業をしています。それぞれのプログラムはメンバーの得意分野を活かしたものをやっています。

でも必ずしも、何かをしないといけないわけじゃない。イベントを開催することを目的にしているのではなく、ゆったりする日、何もない日があってもいいと思っています。あくまで、場を探している人のための場所として存在しています。偶然そこで出会った様々な人が、自発的に、あるいは自然に、関係性を築き、自分の主体性を活かす場所になれば。

大切にしていることはなんですか。
国籍・宗教・ジェンダー・セクシュアリティ・障害など、人それぞれに多様な視点や価値観、背景があります。その違いを認めながら、安全に共有できることが対話の大前提。それぞれの視点を知り合い、衝突の刺激もありながら、それと同時に安心できる場所であること。その両立が課題です。いわゆる社会の周縁におかれている人々、まだ場所を探している人の居場所を目指しながら、交差することで社会の「中心」とされている部分を問いかけていきたい。

はじめたきっかけはなんですか。
2006年から毎年、アジアのアーティスト、リサーチャー、運動家や法律家との対話を中心としたdislocateというアートイベントを開催していました。あちこち会場を転々としていましたが、善福寺にある遊工房アートスペースのインターンをしていたころにこの場所を発見し、この地域の魅力と矛盾(見えないところ)が面白くて、その後、dislocateのレジデンスプログラムを西荻窪で展開してきました。年一回だけではなく、もっと通常でこの地域で何かをやってみたいという思いがあったのでdislocateからkosatenの活動・空間が生まれました。(エマ)

関わりのあるアーティストの山岡さ希子さんが参加した2010年のdislocateに行ったのがきっかけです。。意見の衝突を通じて自分の「当たり前」がうちこわされ、価値観が変化して、そこに新しい関係が生まれる。この体験が楽しくて、その後の「公-差-転」にも参加しました。(佐野)

2014年にネットでdislocateの企画のことを知り、参加しました。意見の対立で参加者同士が衝突をすることがありましたが、その時の経験が今の活動や関心につながっています。(宮川)

善福寺を拠点にしたのはなぜですか。
杉並区善福寺は日本の代表的な郊外です。もっと問題が顕在化している場所はたくさんあります。その中で善福寺は一見すると、なにかの社会問題を象徴するような場所ではないのですが、それゆえに実は、日本にあるさまざまな問題が潜在化している場所だと思っています。多くの人が、この日本には言語や民族が一つしかないという幻想を持っていますが、そういう典型的な日本像を持っている人たちが多く暮らす場所にあえて入っていくことで、内側から対話を通じてそれをこわしていけるのではと考えました。

西荻とのつながりについて。
メンバーの多田さんのカフェ「オクターブ」や、かがやき亭、ゆうゆう館、en=gawa、YMCALiby、cocoonなどにお世話になっており、いままで地域のお店や住民とさまざまなコラボレーションが実現できました。メンバーの中で近所に住んでいる方も結構いて、日常生活から深く関わっているところもあります。Kosatenはこの地域に住んでいらっしゃる多様な世代、外国のルーツを持つ方、ひきこもりである方、発達障がい・知的障がいを持つ方などにとっても大切な居場所になっていると思います。また西荻の個人営業のお店は独立精神があり、こちらの活動にも協力的で共助意識があります。自分たちでさえ何をやっているかわからないこともあるのに、理解をしてくださる人がいる。もっとつながりたいという気持ちもありますので今後より協力する機会があればうれしいです。

今後の活動は。
もっと失敗して、もっと学んで、もっと衝突して、今まで考えていなかったことが少し見えるようになったらいいと思います。そのためにこれから価値観の違う人ともっと会っていきたいです。わかりあえなくても理解し合うことはできます。時には失敗もあると思いますが、ありのままの自分を出しながら、普段の生活の疑問をぶつけたり、社会問題を共有したりすることで、日常のヒエラルキーから抜け出し、自分なりの表現方法を探り当てていける場所になっていけばいいなと思っています。表現の自由と他者と向き合う場所、多様な声が上げられると同時に他人の声に耳を傾けられる場所にしたいです。

アート企画dislocateの開催をきっかけに、2015年、善福寺4丁目の和田ビル4Fにオープン。
自分と違うものと出会う場所、何かをこれから変えていく刺激になる場所。

http://kosaten.org/ja/

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