12月の西荻案内所文庫は「 西荻窪の本と本屋さん 」

なんだかんだいろいろなことがあった2021年。
気持ちも体も落ち着かないままに日々に追われてしまう歳の瀬ですが、手元の本を開くときだけは現実を離れてしばし本の時間のなかにゆっくりと遊びたいですね。
コロナが流行りはじめてから、とりわけ近所の本屋さんで本を買うことが増えました。面白かった本は近所の友人にシェア。立ち話で感想を言い合うひとときが楽しいのです。

西荻窪は個性的な古書店が充実し、かゆいところに手が届く素晴らしい新刊書店もあり、本好きにはまことによいまちです。本に関わる仕事をしている西荻民もたくさんいて、実際には西荻本ってものすごい数になってくるのだと思います。その中のほんのほんの一部、手の届く範囲で集めてきた「西荻本」をささやかにご紹介していけたらと思います。

西荻案内所文庫

ということで、2021年の年末、ことビル1Fのnof coffee 内・西荻本ライブラリーは、「 西荻窪の本と本屋さん 」をテーマに並べてみようと思います。 (でも本をテーマにすると結局なんでも置けるのでは?と思いつつ…)その中から何冊かを紹介します。

西荻窪の古本屋さん
西荻窪の古本屋さん
音羽館の日々と仕事
広瀬洋一


古書音羽館で数年働いて(修行して)から、自分の古本屋を開業した方はもう何人くらいいらっしゃるのでしょうか。
広瀬さんが西荻のまちと人と本と深く関わりながら営んできた日々のひみつが詰まっています。
私は西荻窪に引っ越してきたときに「西荻ブックマーク」という著者トークイベントが開催されているというのにとても惹かれてなんていいまちなんだろう、と思っていました。

西荻ブックマーク
本と西荻窪
西荻ブックマーク
100th anniversary booklet


2005年から始まって100回を越えた西荻ブックマークの記念誌。本と著者との距離感が絶妙で心に残るイベントの数々の記録です。

野蛮な読書
野蛮な読書
平松洋子


東京女子大学卒業で、現在も西荻窪にお住まいの平松さん、今野書店で買った本をいそいそと向かいのモスバーガーで広げる様子には思わずにんまりしてしまいます。食に関してもそうだけど、読書に関しても「健啖」という形容をついしたくなるほど面白そうな(美味しそうな)本がたくさん選ばれていて、読書欲が刺激されますよ。

ナワプラサードが選ぶ100冊の本
LOVE&PEACE
ナワプラサードが選ぶ100冊の本
高橋ゆりこ


ほびっと村学校とナワプラサード書店の主宰者によるブックレビュー。掲載されていたほびっと村かわら版は懐かしの輪転機で刷られ、情報がぎっしりだったなあ。生きること、健康、性のこと、宇宙、宗教、思想、哲学などなど、ちょっと立ち止まってじっくり考えたくなったら指針をくれるような本を探すとき、まずこちらを読んでみるといいかもしれません。


本屋、はじめました
新刊書店title開業の記録
辻山良雄


青梅街道沿い、西荻窪駅からも荻窪駅からもちょっと離れた場所に看板建築の(古い)一軒家をリノベーションして新刊書店ができたということを知ったときには「経営は大丈夫なのか?お客さんは来るのだろうか?」と失礼ながら思いましたが、今ではすっかり全国からわざわざ人が訪れる名店に。事業計画書なども公開されているこの本を参考にして、新刊を扱う個人書店をたちあげるというムーブメントもあちこちで生まれました。


東京 わざわざ行きたい 街の本屋さん
和氣正幸


この本には東京中の魅力的な新刊書店、古書店の様子が詰まっているのだけど、なんと言っても荻窪・西荻窪の書店の紹介から始まってるのがなんとも胸アツなんです。それぞれの本屋さんの匂いがたちのぼってきそうな愛に満ちた一冊です。


わたしのブックストア
あたらしい『小さな本屋』のかたち
北條一浩


数多ある本のなかから探している人にピッタリの本を届ける、出会いをコーディネートするために本屋の店主たちはそれぞれの方法論を持っていることに気付かされます。西荻窪では音羽館、信愛書店が取り上げられていて、読んだあとはお店に行って確かめたくなってしまいますよ。


古本屋ツアー・イン・ジャパン 全国古書店めぐり
小山力也



古本屋写真集
岡崎武志


野呂邦暢 古本屋写真集


盛林堂の本棚 2016年10月 盛林堂書房古書目録第3号

西荻ブックマークで知った、(こんな人いるんだ〜!)の古本、古本屋マニアの世界。古本屋はなんて自由なんだろう。
旅に出たとき、いつもと違う街に行ったときは古本屋に入ってみることにしようっと!


古本道場
角田光代・岡崎武志


古本道ってなんぞや? ああ、でもありそう〜。こういうたたずまいの古本屋にはあったあった!これこれ〜、とお目当てを見つける喜びだったり、裏切られる楽しみだったり。
西荻窪の古本屋についてもしっかりみっちり書かれているんだけど、古本屋からまち、まちの人まで読み解く洞察力の鋭さに感嘆してしまいますよ。書かれているのはすこし前の西荻のことで、ハートランドとか興居島屋とか懐かしい。いいお店だったな。店主さんたちお元気でいらっしゃるのでしょうか。


草子ブックガイド
玉川重機


中学生の草子ちゃんは家庭がちょっとフクザツで、要領よく生きるのが苦手。そんな子がいろいろな本と出会い、人と出会い、考え、表現し、成長していく。お話の舞台は西荻窪なので、モデルとなったお店や風景ににんまりしながら、草子ちゃんと本の旅にでかけたい。


popeye 2020 august
ポパイの読書案内


何が嬉しいって、本屋ロカンタンの萩野さんが、西荻案内所が作った書籍『西荻にいたピンクの象』を紹介してくださってること!その他にも、面白そうな本がいっぱいです。


西荻にいたピンクの象
西荻案内所


2017年に廃棄されかけたところをすったもんだして佐渡に連れて行った象のことを本にまとめたものですが、これが面白いのよ〜。今の西荻のまちを象徴する出来事だったし、これからのことも暗示しているような。思い切ったことをしたけれど、すばらしい竹細工の職人さんと出会い、お話を聞けたことがかけがえのない経験でした。


病と障害と、傍らにあった本。

苦しいときに何が助けになったか。ひとつの答えとして、本があった。思うように体が動かないときに、本の時間のなかで、思索をめぐらせ感じ考えられることの貴重さ。本を通じて実際の人間の考えの軌跡と出会うこと。自分のペースでページをめくったり、しんどいときは置いておいたりできるところも本の良さだと思う。本はいつでも待っていてくれるのだな。


林檎貫通式
飯田有子


歌人の切り取る西荻のまちはかわいいような不穏なような。
ほかの連作も生理的にううっと迫る恐ろしさをはらんだガーリーな感じにはまってしまいます。

飯田有子さんといえば、
「西荻観光手帖」の「西荻文学観光」コーナーで、「西荻の本」の部分を担当していただきました。

本の中でまた西荻に出会ってください。

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2013年刊行『西荻観光手帖』(発行=西荻窪商店会連合会)より

西荻文学観光「西荻の本」より
西荻文学観光「西荻の本」より
西荻文学観光「西荻の本」より
西荻文学観光「西荻の本」より

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