今日は大塚にできた新しい映画館「シネマハウス大塚」へ。
シネマハウス大塚は50席ほどの小さな映画館です。オレンジ色の椅子がいい感じ。西荻にもこのくらいの映画館があったらなーと思ってしまいます。
今日まで上映していたのは大島渚の映画。大島渚といえば、1960年の西荻の風景がカラーで出てくることでごく一部で有名な『青春残酷物語』や、皆さんご存知『戦場のメリークリスマス』『愛のコリーダ』あたりが有名だけど、この特集上映では、『絞死刑』と『新宿泥棒日記』のふたつ。『絞死刑』のほうはタイミング合わず、以前から一度見たかった『新宿泥棒日記』を鑑賞。
『新宿泥棒日記』の撮影は1968年の新宿。ピチピチとした唐十郎はじめ、麿赤兒・李麗仙など状況劇場の役者たちが出演し、当時の芝居が記録されているという点において、日本演劇の弩級映像資料といえます。巨大なペトリ(カメラメーカー)の看板や都電が走る靖国通りなどの新宿の風景も、大きな画面で見るとまたその生々しさが違います。
紀伊國屋書店で万引きをはたらく憂いを帯びた青年を演じるのは、横尾忠則。唐さんも横尾さんも、ビッグネームになってからのことしか知らず、『腰巻お仙』や『ジョン・シルバー』のころは本や写真でしか知りえないことと思っていたので、当時の空気感がよく伝わってきました。紀伊國屋書店社長の田辺茂一(こけし屋カルヴァドスの会メンバーです)も本人役で出てきます。重要なポジションでけっこうせりふも多いのには驚きました。横山リエという主役の女優さんは、いまも新宿でお店をやっているとのこと。
50年前なんてずっと昔のことと思っていたけど、若い横尾さんや唐さんの姿を見て、あの時代と今がつながっているということを強く感じました。
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さて、なぜこの映画館のことを知ったのかというと、西荻南にあるかわいい系居酒屋「iitoco」のなっちゃんのパパ(通称なっちゃんパパ)が、この映画館をつくったからなのです。自分で映画館をつくるって、本当にすごいですね。しかも、同じく大島渚の『東京战争戦後秘話』に、なっちゃんパパが出演しているのです。いったい何者!?
そんななっちゃんパパのことで私が知り得ている情報は、広島カープのファンだということくらいです。
シネマハウス大塚ですが、次の上映は『三上智恵監督・沖縄三部作一挙上映』です。沖縄・高江でのオスプレイ着陸帯建設反対を描いた『標的の村』ほか、沖縄でいま起こっている問題を取り上げた意欲的なラインナップ。
多目的ホールとして、ライブや講演会・シンポジウムなどに利用することもできるとのことです。
映画館って、やっぱりいいなあとかみしめながら、ノスタルジック風飲み屋街「東京大塚のれん街」(←これの存在感にびっくり!)は華麗にスルー、西荻へ戻り、iitocoでなっちゃんパパ本人から作品解説をしていただき、なんとも贅沢な夜でした。
参考:新宿泥棒日記予告編