第1回 西荻手しごと市【西荻のメディアと場】

西荻のメディアと場
第1回 西荻手しごと市
石川麻子さん 渡部孝志さん

昔ながらの集会場「井荻會館」で、
毎月第4日曜に開催されている
西荻手しごと市。
月に一回、顔をあわせるメンバーの
和やかな雰囲気が魅力。

西荻手しごと市に関わるようになった経緯を教えてください。
私が出展者として参加するようになったのは、3回目くらいから。布のバッグを作っています。もともと作ることが好きで、いろいろと作っていたら、縫い物を頼まれることが増えてきたんです。そしたらちょうど近所で手しごと市が始まり、参加してみたのが最初です。それで数年前から運営の側にも参加するようになりました。(石川)

なぜ始めようと思いましたか。
西荻は骨董屋が多いことで有名です。うちの店もそうですが、骨董屋には、骨董が好きな人だけじゃなくて、製作のための資料や材料を探している手しごとの作家さんたちもたくさんいらっしゃるんですよ。それでそういう人たちを集めての市をしたらいいんじゃないかと思いついたんです。昭和レトロなたたずまいの井荻會館では、春と秋の年2回、「西荻骨董好きまつり」というのをやっているのですが、この魅力的な場所をもっと活用したいという思いもありました。
「手づくり市」ではなく「手しごと市」という名前にしたのにはこだわりがあります。これは作家さんや職人さんたちへのリスペクト。骨董屋をやっていると、名も無き職人さんの美しい手しごとに出会うことがあります。今や再現することも難しいものも多いです。今、「手しごと」というものがどんどん消えていくなかで、それでもこうした美しいものたちを資料や素材にして、なお新しい「手しごと」を生み出そうとしている人もいる。それに光をあてたかったんです。(渡部)

会場の井荻會館の魅力はどんなところにあると思いますか。
畳敷きの大広間があって、ぺたっと座っておしゃべりできたり、子どもも安心して遊ぶこともできたりと、とても好きな場所です。(石川)
どこか田舎っぽいんだよね。そういう、いい意味で田舎っぽい街の長老たちが、実はこの井荻會館を支えている。ちょっと広い土地があるとすぐマンションになっちゃうでしょ。そういう世知辛い都会の中に、ぽっかりとある。だからこの場所をつかって、もうちょっと世代間交流もしていきたいね。(渡部)

「手しごと市」をやってきた中で印象に残っているエピソードなどをおしえてください。
印象に残っているのは2011年11月にやった「西荻写真館」。骨董屋が昔の生活道具を提供し、リサイクル着物屋が時代感のある着物を提供して、それらレトロな小道具と衣裳をつかってポートレートを撮影する企画です。骨董屋やアンティークショップが多い西荻の「地の利」をフルに活かした好企画で、年賀状シーズンということもあって盛況でした。またやりたいけど、準備が大変なんだよね。(渡部)
なにより、子どもをこの「手しごと市」で育ててもらったと思っています(笑)。参加しはじめたときは3歳だった娘も、今は10歳。毎月この井荻會館で、いろんな人に出会いながら大きくなり、母子ともにいろいろなことを教えていただいています。(石川)

西荻ってどんなところだと思いますか。
この手しごと市では、まず出展者が楽しんでるんですよ。そういうまったりした、無理しない感じが西荻全体にもあります。(石川)
東京の町はどんどん変わっていって、西荻ももちろん変化しているけど、それでも他に比べたら変わっていないところが多い。そこが魅力です。(渡部)

今後の展望について教えてください。
こう変わっていきたい、というようなことはなくて、このままでいてほしい。毎月変わらず、なんとなく集えることができればいいなと思っています。でももっとお客さんには来てほしいかな(笑)。(石川)
運営のいちばん大変なところは、数年前にバトンタッチしました。僕が持っていなかった若い感性がそこにはあって、若い人たちが集まってきています。これからはその若い世代と、僕よりもさらに上の世代の人が、この場を通じて交流できればいいなあと思っています。(渡部)

毎月第4日曜日開催、西荻北の集会所「井荻會館」が会場。
メンバー=6人くらい いつごろから=2010年9月より
活動内容=当日の会場準備、出展者取りまとめ、出欠確認、企画、チラシづくりなど。
http://www.nishiogi-teshigoto.com/

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