木曜は定休日でしたのでちょっとでかけてきました。
……といってもすぐとなりの東西荻…ではなく、荻窪です。
天沼八幡神社の裏手にある「杉並区立郷土博物館 分館」で開催中の展示は「杉並にあった映画館〜なつかしの映画ポスター大集合」。杉並区内にかつてあった映画館を写真などで紹介しながら、当時の映画ポスターやプログラムを楽しむ展示です。
この展示、実は西荻案内所も少しだけ協力をしています。西荻エリアの映画館の写真のいくつかは、「西荻観光手帖」作成の際に入手したものを提供しています。また、「西荻東映」と「西荻名画座」のプログラムは、渡邉恵子さん所蔵。本名だとぴんとこないかもしれませんが、茶舗あすかさんです。引越しで荷物を整理していたところ、小中学生のころに見た映画のプログラム(すべて邦画の時代物)がごそっと出てきたので、それを案内所で預かっていました。貴重なものだとは思っていましたが、まさか博物館のガラスケースに入ることになるとは。
プログラムには当時の広告も入っていて、今やかつ丼で超有名な坂本屋が「甘味処」だったりと、今も残るお店を発見できたり、わくわくします。西荻には6つの映画館があったそうです。これまで5つと聞いていたのですが、今回の展示では「西荻富士館」という映画館がリストに入っていて驚きました、どうやら戦前にすでになくなった館のようで、どうりで誰からも話を聞いたことがないわけです。関根橋の手前、魯山さんや Loupeさんのあるあたりにあったそうで、さすが専門の学芸員さん、調査がしっかりしています。
また、今回の展示にはちょっと面白い特徴があります。各エリア毎に映画館マップが掲示されているのですが、そこに必ず、銭湯も入っているのです。映画館と銭湯、なんのつながりもないようでいて、どちらも日々の生活の楽しみとして、人々が周回するように足を運ぶ場所だったのでしょうね。きっとそのあたりを踏まえてのこととは思うのですが、そのさりげなさに学芸員の方の熱を感じました。西荻でも横山座と横山湯は近くにあったようですし(ぷあんのあたり)、また、銭湯で映画館の割引券をもらって見に行ったなどの話もよく聞いていますから、映画館と銭湯には切っても切れない関係があるのでしょうね。
写真もなかなか貴重。「ムービー山小屋」というすてきな名前がつけられた高円寺の映画館が、桃園川の氾濫により水没しているところの写真など、暗渠者のみなさんにはぜひ見ていただきたいです。
そして一番貴重なのは、色鮮やかな映画ポスターです。高峰秀子はやっぱりかわいいですね。必見です。
1Fのモニタでは、昭和27年につくられたという映画『杉並物語』(24分)が上映されています。区制20周年を記念してつくられたもので、当時の西荻窪駅前や、給水塔がある善福寺池の風景、はしご開渠の建設風景、動いてる内田秀五郎さんなどなど、貴重映像満載です。当時は各地の自治体でこのようなものがつくられたのでしょうね。ナレーションは杉並区在住だった徳川夢声。徳川さん、一人称が「あたし」なんですね。ちょっといいなあ。あたしも使ってみようと思います(笑)。
〜5月10日まで「杉並にあった映画館」