ニシオギ空想計画Vol.2 の報告1 〜 西荻の「いま」展

ニシオギ空想計画Vol.2 について

今年6月に松庵の登録文化財古民家「一欅庵」で開催した「ニシオギ空想計画Vol.1」。「Vol.2」は、善福寺公園の恒例アートイベント「トロールの森」の「まちなか部門」出展作品となり、西荻窪駅周辺の3箇所+2箇所で開催しました。メイン会場は西荻窪駅南口の浜商不動産駅前店。こちらでは、公募で集まったそれぞれの「ニシオギ空想計画」の展示のほか、その場で「ニシオギ空想計画」を描けるコーナーを用意。その結果あらたに60以上の案(幼児のお絵かきも含む)と、50枚以上のふせんメモ(大きな紙に絵を描くのはちょっとムリ〜!という人向けに用意。七夕の短冊のような感じです)が集まりました。ほか、駅前での「すわれタウン計画」やサプライズで開催したタンゴ演奏もありました。ほか、ギャラリーブリキ星でのSAVEニシオギ展、ギャラリーいしころでの「30年後の西荻」展などもありましたが、こちらのざっくりした報告は次回以降のブログ記事にし、今回はまず 信愛書店で開催した〈 西荻の「いま」展 〉のご報告を。
なお、年内に「ニシオギ空想新聞」として、総まとめをタブロイド判くらいのサイズで発行します。こちらも乞うご期待&広告欄への出資プリーズ!(広告出資の詳細は数日後に)

すわれタウン計画と駅前タンゴのことは次回以降に。

西荻の「いま」展 〜信愛書店en=gawa

はじめに

「ニシオギ空想計画Vol.2」は、「トロールの森」参加なので、全体的にVol.1よりアート的なアプローチをねらっていました。Vol.1では「地域の課題解決」という観点から、建築・デザインの領域を軸に展開しましたが、より混沌の方向へ。
アートの社会的機能は「問題をあぶりだす」こと、「既存の価値観を破壊する」ことです。アートとは美しいものだ、という固定観念はだれが翻訳したのか「美術」という言葉の弊害ですが、美しくなくてもアートなのです(一方でデザインは「解決」を探るものです)。
「Vol.2」では、多義的多角的に地域の見方を提示し、西荻の現在と未来をみんなが共有することが目的でした。それでメイン展示となる〈ニシオギ空想計画展〉では、西荻の「未来」を老若男女で共有し、もう一つの軸として「いま」を共有することを考えました。それが信愛書店で開催した〈西荻の「いま」展〉です。

西荻の「いま」展

西荻のいま〜都市計画道路132号線

西荻をゆるがす話題としてようやく知名度が上がってきた感のある都市計画道路補助132号線。西荻のメイン通りである北銀座通りが11メートルから16メートルになる(南側は20メートル)という拡幅計画です。いまだに「そんなのまだまだ先の話でしょ」という声が聞こえるのですが、平成28年に優先整備路線になって以降、今年度(2019年度)中に事業認可がおりる段取りになっています。認可が出ると今度は調査が入って、それぞれの土地の値段や営業や移転も含めた補償金額が決まり、用地の買取と工事がスタート。このまま行けば5年後くらいには実際の風景がかなり変わってくるのではないでしょうか。

西荻の「いま」展 のあらまし

杉並区都市整備部土木計画課では、道路拡幅に関する説明会を商店会長や地権者向けに開いたり、「オープンハウス」(パネルで解説)などをやってきたわけなのですが、説明のホームページがわかりにくかったり、広報による告知なのでふだんから意識してないと情報が入手できなかったり、オープンハウスの日取りが限定的だったり、あくまで地権者向けで、同様に権利者である店子への対応や連絡が二の次になっていたりして、いまひとつ開かれていないという印象がある。
それで、9月に桃井第三小学校で実施されたオープンハウスの資料データを杉並区都市整備部よりいただき、〈西荻の「いま」展〉として展示することにしました。オープンハウスや説明会だと、その場に担当職員がいてすぐに解答をいただけるのですが、それはムリなので、意見や質問、あらたな提案などがあったら、ふせんに書いてペタペタ貼るという方式。会期終了後にそれを、杉並区都市整備部土木計画課にお渡しすることに。

西荻の「いま」展

展示の様子

西荻の「いま」展

11月2〜8日に信愛書店の奥のスペースに展示し、都市整備部土木計画課のみなさんも途中で様子を見に来てくださいました。

その後、9日と10日は、浜商不動産駅前店の奥の壁に展示物を移動しました。

西荻の「いま」展

意見や質問など

◯が各パネルの内容。質問や意見のなかったパネルは割愛しました。各パネルも小さく掲示しています。
●はそれに対する意見や質問です。

都道補助132号線資料

01)都市計画道路補助132号線が拡がります!(トップ)
●主語がない。事業主体がどこなのかわからない。
●「拡げます」でなければおかしい。
●誰が決めることなのか。都なのか区なのか。
●誰が望んで拡張を決定したのかがわからない。

都道補助132号線資料

02)都市計画道路の整備状況(杉並区の整備率は23区中22番目と低い)
●整備状況が23区で22番目だとなぜ悪いのか。
●なぜ他区にくらべて完成率が低いのか。その理由は?

都道補助132号線資料

03)都市計画道路補助132号線計画の変遷(S22に街路決定〜S41計画変更〜H28優先整備路線選定までの経緯 リンクあり)
●昭和41年再告示当時の資料で、決定経緯がどのようなものだったか確認したいが、どのような資料を見ればいいのか。どこにいけば見られるのか。
●再告示前の計画街路を知りたい。
●優先整備路線となった理由はなにか。
●第三次事業化計画にも入っていたのに事業が動かなかったのはなぜか。
●第三次事業化計画に入った時にも住民への周知はあったのか。
●当時、山田区長(当時)がストップをかけていたというのは本当か。

都道補助132号線資料

04)区内の都市計画道路の状況と第四次事業化計画の優先整備路線について(区内には132号線のほかにも優先整備路線がある)
●同様の事業化計画に入っていて防災上の危険度がより高い高円寺の補助227号線は凍結ときいている。西荻の補助132号線となにがちがうのか。

都道補助132号線資料

05)主な意見(アンケート:「整備は必要と思うか」という質問に90%以上が賛成)
●道路整備に賛成はイコール道路拡張に賛成ということではないのでは。
●アンケートのやり方に疑問が残る。結論ありきのアンケートだったのではないか。
●「道路拡張は必要と思うか」という設問でアンケートを取り直すべき。

都道補助132号線資料

06)都市計画道路補助132号線の整備方針での位置付け(拡張目的の一覧表)
●当初は重視していた「東京ガス」の緊急車両についての説明がなくなったのはなぜか。
●令和元年6月3日区議会で、沿道の焼失が6〜7棟なのが、整備すると3〜4棟になる(3割減)との発言があったが、大工事のわりに、あまりにも効果が小さくはないか。
●「拠点形成」の観点からいえば、青梅街道からより駅前から整備を始めるべきではないか。順序が住民目線ではなく作業者目線ではないか。

都道補助132号線資料

07)高度な防災都市の実現〜車道部と歩道部を拡幅(災害時の対応イメージを図示)
●令和元年6月3日の議会では自動車交通量は減少しているとの発言もあった。そうなると道路拡幅は不要ではないか。
●そもそも消防車が活動できない幅の道もある。本来優先するべきそちらの整備計画はどうなっているか。

都道補助132号線資料

08)高度な防災都市の実現〜電線類を地中化(電柱撤去で防災力向上の説明)
●地中化はするべき
●自転車道を確保してほしい
●電線を地中化するのに道路拡幅は必須ではないのでは?
●歩道2.5メートルで電線の地中化は可能。道路を広げる必要はない。
●電線の地中化とともに共同溝を作ったらどうか。
●いっそのこと道路を地下化したらどうか。地上は歩道で。

都道補助132号線資料

09)高度な防災都市の実現(延焼遮断帯の説明)
●50年後や100年後を考えた時、車中心の社会が持続しているとは思えない。新たなモビリティのための余地を残して計画しないと、道路完成時には時代遅れの計画と言われそう。
●現状で道路の不便はないので水害対策を優先してほしい。
●132号線が延焼遮断帯になったときの具体的な予想データを示してほしい。

都道補助132号線資料

10)拠点形成と拠点間連携(駅前の現状と整備イメージの対比説明)
●現状でバスの乗降が車道なのは危険
●タクシープールを別敷地(南口パチンコ屋等)で確保すればバスロータリーを確保できる。
●拡張賛否よりそもそもの交通マナーの徹底をしてほしい。駅前が広くなっても路上駐車の車両は減らない。警察も見て見ぬふり。
●均一な拡幅だけが達成の条件か。デザインと工夫次第で部分的に拡幅すれば機能を果たすのではないか。
●駅前に駐車スペースを確保するべきではないか。
●工事の順番として駅前に手をつけるのが先なのではないか?

都道補助132号線資料

11)拠点形成と拠点間連携(拡幅後の車道と歩道の断面イメージ)
●車道に9メートルは不要では。歩道をもっと広くするべき。
●高齢者や、ベビーを乗せた自転車が車道を走るのはこわい。
●バス停部分だけ拡張すればいいのでは。
●道に面した商店や家がどうなるのか。道路のことしか説明がないのが不安。
●自転車がちょっと停められる場所がほしい。
●拡張賛否より、車椅子など障害のある方やベビーカーなど、この杉並をみんなが快適に歩けるような道に整備されることを望みます。
●路上設置物や違法駐車が増える。
●拡げた道にコインパーキングはいらない。自転車の通行が困難になる。
●段差解消とバリアフリー化は必須。

都道補助132号線資料

12)◯補助132号線の線形について(線形がクランク状になった経緯説明)
●五日市街道にまっすぐ拡げないのはなぜか。
●児童館の方向ではなく、直進して児童たちが安全に通れるようにしてほしい。
●南口がなぜ幅20メートルなのかの説明をしてほしい。
●もっとも危険性が高い神明通り入り口の手前で整備計画が止まっているのは中途半端。このままだと西武信金前の交差点はより危険な状況になる。
●不自然なクランク状にまとまった再告示時の「政治力学」がいかなるものだったのか、検証すべき。
●当時の有力議員の家が直進ルート上にあったからといわれている。
●クランク部整備イメージの写真は信号がない道路になっているが、信号はどうするのか。
●「自動車交通の円滑化」「安全性の向上」という整備方針に反する形状であり見直すべき。
●そもそも自動車交通を円滑にする必要がない。むしろスピードが出せないような道路整備をしてほしい。
●昔の計画図が見たい。
●現状で「まちづくり」との連携はなされず、地権者のみとのやりとりしか行われていない。区のプレゼンと実態に相違がある。
●現在の西荻のにぎわいは北銀座通りの「店子」にあり。道路拡張により重要な文化・トレンド発信地を失うことになるが、そこへの対策はどのようなことを考えているか。
●「拠点形成」を目的とするなら駅前から優先的に整備をするべきではないか。
●現在の「地域のにぎわい軸」は道路拡幅により損なわれることになる。今あるものを生かしてほしい。

都道補助132号線資料

13)整備の進め方(青梅街道側からの整備、第一期予定区間の図示)
●西荻ギザギザ通りでいいじゃん(補足:道路整備を一律16メートルで行う必要はないのではないか)
●補償がどうなるか不安。
●測量は駅のほうからだったのに整備は青梅街道側からでは、急すぎる。
●防災目的なら駅の方からやればいいのでは?
●駅前から整備したほうが住民理解が得られるのでは。
●期を分ける必要はなく、合意の得られたところから手を付ければいいのではないか。
●この図では具体的な進め方がわからない。一般的なものでいいので詳細なスケジュールを出してほしい。
●時間、騒音、排ガスなどがどのようなものになるのか。
●関根橋架替えのスケジュールも出してほしい。
●「第2次緊急輸送道路」は東京ガスが想定されていると思うが、移転すると聞いている。必要ないのではないか。
●「第2次緊急輸送道路」ってそもそもなんですか。

都道補助132号線資料

14)JR中央線駅に接続する都市計画道路の整備状況(中野から三鷹までの都市計画道路。西荻だけ未完)
●他地域にも未完の道がある。他地域はなぜ完成した道だけ表示し、西荻の未完を強調するのか。恣意的なものを感じる。

都道補助132号線資料

15)区内駅周辺の都市計画道路
●高円寺北口はどうするつもりなのか。

都道補助132号線資料

16)都市計画道路補助132号線(練馬区)の整備状況
●「整備完了」の道に活気がないように感じる。

都道補助132号線資料

17)事業の流れ(今後のスケジュール)
●絶対に必要な整備/必要だが今すぐでなくてよい整備/実は必要ない整備 を、選択する必要がある。
●流れはわかっても令和2年以降の具体的なスケジュールが見えない。

よくあるご質問

18)よくあるご質問
●周知率はどのくらいか。オープンハウスのこれまでの来場者はどのくらいか。
●クランク道については経緯ではなく理由が知りたい。
●残地は買い取らないというのは本当か。
●残地は区が買い取りポケットパークにしてほしい。防災ベンチ、防災トイレなどを設置。
●神明通りの安全対策(スピード規制・車両規制)が必要。
●クランク道に関して予測シミュレーションをするべきではないか。
●延焼遮断帯の効果については、エビデンスを示すべき。
●延焼遮断帯を形成する建物の不燃化には補助などがあるのか。
●まちづくり・みちづくりの順番が逆だと思う。

19)補償の説明について
●削る土地は補償するけれど残った土地は買わない。壊す費用はだすけれど、再建の費用はださないなど、補償しないことについての説明がない。これでは生活再建ができない。全て説明するべき。
●店子への個別の説明がこれまでされていないのは問題。
●移転補償・廃業補償など、さまざまな具体例(金額含む)をあげて説明すれば、納得する人もいるのでは。
●なにが補償され、なにが補償されないのか、リストがほしい。

※用地補償については以下のPDFを参照のこと。

https://www.city.suginami.tokyo.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/033/914/hosyo1.pdf

以上、〈西荻の「いま」展〉で集まった質問や意見はすでに杉並区都市整備部土木計画課の課長さんをはじめとする担当者にお渡ししました。回答は12月中旬までにいただける予定。その際に、答える必要がないという判断であれば、答えなくてもいい、決まってないことやわからないことは「決まってない」「わからない」という回答でOKということでお願いしています。全質問および回答の全文は「ニシオギ空想新聞」に掲載します。

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