西荻の道路拡張計画 2(181226)

北銀座通りに道路拡張計画(現状11メートルの道路を16メートルに拡幅する計画)があるのは、8月30日のこちらの記事で紹介しました。

その時に、「関係者の声」として、南口のほうからは強い反対意見が出る一方で、北の商店会の人はどうも「肚がきまっている」ようだと書いたところ、その後、そんなことないから!と北銀座通り沿いに住んでいる方から連絡をもらいました。特に関根橋より北でお店をやっている方やお住まいの方から、道路拡張に対して戸惑いの声が聞こえてきています。前回記事と少し重複がありますが、この記事では、再度道路拡張計画の内容を確認したのち、現状の雰囲気をリポートしつつ、個人的な見解や今後について書いておきます。

まずは前回記事の復習から

北銀座通りは大正10(1921)年、西荻窪駅開業に先駆け、当時の内田秀五郎村長らによる区画整理の一環で整備されたのち、昭和2(1927)年、11メートル幅で計画告示され、再整備されました。その後、補助132号線と呼ばれるようになった北銀座通りは、昭和41(1966)年、16メートル幅の道路として都市計画道路のリストにあらためて加えられることに。これ以降、道路用地にかかるところは新しい建物が制限されることとなりました。北銀座通り西側の商店やマンションがセットバックしていたり、建っていても道に近いところだけ2階建てだったりするのはこの制限のためです。しかし約50年、計画が事業化することはありませんでした。しかし平成28(2016)年、補助132号線は東京都の「第4次事業化計画」優先整備道路に指定されたため、計画から実に52年経って、具体化にむけ、一気に動き出したのです。

その理由はお役所っぽい言い方で「高度な防災都市の実現」と「拠点形成・拠点間連携」。
道路幅が16メートルになると、地震などの災害の時に起きた大規模火災の延焼遮断帯として機能するのだそうです。そして道路拡張と同時に行われる電線の地中化。それから道の途中にある東京ガスの存在。非常時に緊急車両がここから出るので、そのためのルートを確保する。これが1つ目の「高度な防災都市の実現」の内容。
もうひとつの「拠点形成・拠点間連携」は、駅前のバス停周辺の整備、歩道の狭さの改善、バリアフリー化。道路を広げることでこれらを改善し、「拠点を持続的に発展させる」のが目的。

具体的なスケジュールが出始めています。青梅街道から西荻南の「西武信用金庫」のところまでが優先整備道路となっていて、その全長1070メートルを3期にわけて整備を行います。まずは、東京ガス付近から青梅街道までの道を広げ、そこから順次、駅のほうの道路拡張を進めていく計画。来年(2019・平成31年)4月には「事業認可」となる予定で進めており、そこから、個別に交渉、立ち退きののち、工事着手となります。具体的には杉並区のホームページに該当記事があるので(めっちゃわかりにくいですが)、こちらも参照してください。

 

11月29日の集会

 

西荻の道路拡張

というわけで11月末に当事者のみなさんが主催する集会がギャラリーブリキ星で催されたので、お伺いすることに。なおこの集会には、杉並区から都市計画整備課課長をはじめ、5人の杉並区職員がいらっしゃいました。事業内容の説明を聞いたのち、疑問点などをきいていきます。

まずは課長さんから、上記の復習記事にあるような内容が説明されました。その中で、大型車の通行を可能にするため、関根橋の拡幅(つまりかけかえ)を先行して行うというのが真新しい話として出てきました。

住んでいる人、お店をやっている人にとっては、これまで52年間も膠着してきた話がいきなり動き出し、2019年には退去への動きが始まるというのだから、戸惑いがあって当然です。納得のできる説明があればまだしも、その理由にはぼんやりとした点が多いのです。

住民の意見より

杉並区がホームページで公開している首都直下地震の被害シミュレーション(これです)を参考にした住民の一人から、北銀座通りが堅い地盤のところにあり、プレゼン資料で懸念されていた建物の倒壊や電柱の総倒れのようなことはそもそも起きないのでは、という意見が出されました。まあこれは仮定の話なので、なんとも言えないところでしょう。

そして東京ガスのこと。東京ガスの緊急車両ルート確保のために拡幅をするのならば、そもそも東京ガス自体を青梅街道沿いに移転してもらえば済む話なのではないか。そっちのほうが道路を拡幅するよりもはるかに低予算で、しかも合理的でしょう、とSindのリチャードさん。

これは私も思ってました。例えば東京ガスと西荻地域区民センターの移転交換、というのはできるんじゃないかなあ。数年前に杉並区は、住宅地にある荻窪税務署(国有地)と「あんさんぶる荻窪」(区の施設)の移転交換を決めました。今後あんさんぶる荻窪の建物に税務署が入って、税務署があったところは「ウェルファーム杉並」という特別養護老人ホームになります(隣の旧国有地部分にはすでに社会福祉系の複合施設がオープン済み)。同じ移転交換を、東京ガスの敷地と西荻地域区民センターでやればいいんじゃないかしら? 区民センターは西荻窪駅から近くなって使い勝手が良くなるし、東京ガスは青梅街道に出ることでより安全になる。そしたら道路幅はそのままでOK。

リチャードさんの計画

リチャードさん、こんな絵まで用意していました。東京ガス跡地には、シニアレジデンス、チャイルドセンターだそうです。気が早いなあ。個人的には劇場/ホールもつくってくれよ、と思います(笑)。

道路が広がって逆に不便になるのではという声も多かったです。大型車が入れるようになったら、むしろ生活しにくくなりそう。青梅街道から大型車両が入ってきやすくなるメリットって、まったくないような。

そもそもこの計画、さきほども言ったように52年前の1966年につくられたものです。当時の日本はオイルショックよりもさらに前ですから、高度経済成長真っ盛りでイケイケの頃。なぜ人口減少時代の今、そんな遺物みたいな道路計画が再浮上してきているんだろうか。もちろんそんなことは区の人は誰も言わないけど、これってやっぱりオリンピック後にどーんと落ち込むことが予想される景気への対策事業なのでは? って思っちゃいますよね。

それで今回びっくりしたのは、地権者にはあらかじめ説明の手紙が書留で送られているらしいのですが、このエリア6軒中3軒には、なんとその手紙が届いていないとのこと。なんでも地権者の本籍地?に送ったとかなんとか?これには届かなかった人が、「ここにずっと住んでいるのに、なぜ知らせないのか」と憤っていました。この道路拡張計画は、直接の関係がある地権者にのみ連絡が渡っていて、そこでお店を借りている人つまり店子にはそもそも連絡がない状態。それならまだしも、地権者でありその場所に住んでいたにもかかわらず、連絡が届かなかったというのはちょっとあってはならない事態。

区の職員も最後には「決まったことですから進めていきます」。なんとも辛い立場なのはわかります。

 

南口はなぜか20メートル

あと個人的にとっても引っかかったのは、「拠点形成・拠点間連携」のほうの「拠点を持続的に発展」とはなんぞや、ということ。つまり西荻の発展は現状の道路では頭打ちなので、道路幅を広げて整備することで、更に発展するようになる、ということらしいんだけど、街の発展とは? でっかいビルを建てて人口が増えること?……そもそも何を発展と捉えるかという前提がないままに、旧時代的な「発展」イメージのまま、この計画はつくられていないだろうか。計画を再検討する機会はもうないのでしょうか。

それで気になるのが、西荻窪駅の高架から西武信用金庫までのわずかな距離だけがなぜか、16メートルではなく20メートルで計画されていることです。ちなみに補助132号線というのは、ここで神明通りに左折して、西荻南集会所を右折し、井ノ頭通りまで一気通貫するという計画になっているのですが、優先整備道路として今回道路拡張の対象になっているのは、この西武信用金庫まで。なので、ここから先の工事はいつになるのかわからないのです。つまり、整備が終わったところで青梅街道から尻すぼみの形になっている。拠点をつなぐだけなら、西荻窪駅北口までで十分だし、なぜ南口までそれが続いているのか、そしてなぜ、南口だけ幅が20メートルなのか。必然性がよくわからない。

西荻の道路拡張計画
南口の道路拡張予定図

この南口だけ幅が広いことについて、すぎなみフェスタの時にこの道路計画のブースを出していた杉並区の職員さんに聞いたのですが、平和通りにも道路拡張の計画があるから、それとの兼ね合いで、広く取られているというようなことを言ってました。でもどう考えてもこれ、南口エリア三角地帯の再開発と連動しているような気がしてならないのですが……。あそこの飲み屋街、だめもとで世界遺産に申請するとか、そろそろやったほうがいいのかもしれません。

 

まちづくり懇談会の謎

さて、杉並区では、駅から半径500メートルくらいに住んでいる人を対象に、西荻窪駅周辺の「まちづくり懇談会」を12月9日に開催すると決め、参加者を募集したそうです。私はそもそも半径500メートルより離れたところに住んでいるので応募資格がなかったのですが、参加された方にちょっとお聞きしたかぎり、なんとも歯切れが悪い感じ。

西荻地区では定員50名に対しては100人以上の応募があったそうです。懇談会の回数を増やしながら、なお抽選があったとのこと。

いま西荻地域の課題とはなにか。それをグループに分かれて話し合い、グループごとに発表していくというようなもの。でも大前提の道路拡張の話がほとんど出なかったそう。街の大変革である道路拡張が議題にされず、既成事実として扱われていたことに違和感を覚えたとおっしゃっている方の声を聞きました。またそのうち開催されるらしいです。見学くらいできるかしら。

こういうまちづくり系のミーティングというのに何度か参加したことがあります。全てのものがそうだとは言いませんが、ふせんにあれこれ書いてそれをボードにペタペタ貼り付けていると、なにかの成果が出たような気になってしまう。でもそれってだれかがちゃんと記録しているわけでもなく、まとめられることはないまま、フィードバックもされない。要するにただの「ガス抜き」なんじゃないか、あるいはこういうふうに広く意見を集めましたという「既成事実づくり」なのかななんて思ってしまうわけです。

本来なら、ここで集まった意見は担当者がちゃんととりまとめ、区民の意見としてまちづくり課(違ってたらスイマセン)から都市計画整備課に伝達すべきことでしょう。でもそうはなっていないのが現状。都市計画整備課にとっては、いったん決まった道路拡張、いかに地権者に条件を納得してもらうか、それだけです。地域の意見など聞いていたら前に進みません。その一方でまちづくりミーティング(実質的には、再開発に向けた話し合い、ってことですよね?)はもっと大きな枠組みを話し合うばかりで、本来連動すべき、すでに今進みつつある具体的な道路計画の話については、実は依然として区民が参加できていないのです。

 

今後の動き

杉並区には他にも第四次事業化計画の優先整備道路があります。補助227号線。高円寺の純情商店街のことです。線路をくぐって南側はすでに整備が完了しています。あれだけにぎわう商店街ですから、こちらは杉並区長さんが堂々、凍結を宣言しています。補助132号線もそういう動きにならんかねえ……というのは実際にはどのように動いたらいいんだろうか。

まあ、来年の4月には事業認可が降りてしまう予定なので、それより前に署名活動を始めるとのこと。詳細がわかってきたらばまたお知らせしますが、署名活動をはじめるにあたって、

「西荻窪の道路拡張を考える会」

という団体名称で、今後は動いていくそうです。

それで、1月30日(水)20時から、遊空間がざびぃでふたたび「西荻窪の道路拡張を考える会」のミーティングがあるそうなので、気になる方はこちらに参加してみたらいかがでしょうか。

そうそう、2019年4月21日には杉並区議会議員選挙があるんだよねえ。その時の争点の一つとして、補助132号線のことを候補者に取り上げてもらったらどうだろう。

ともかく、再開発ってのは均質化で、街が本来持つ魅力をぶっこわすことでもあります。いまさら道路拡張のような、自動車インフラを中心としたまちづくりを、しかも西荻で、誰が求めているのだろうか。これからの主流はどう考えても、歩くことを前提としたブラタモリ的都市像だと思います。高円寺の純情商店街と、南口の道路拡張が終わった街路とを歩き比べて、どちらがより魅力的なのかを、実際に確かめてみれば、自ずと答えは出るはずです。

補助227号線
高円寺駅南口
補助227号線
南口から純情商店街方面

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One Thought to “西荻の道路拡張計画 2(181226)”

  1. 匿名

    このひとの物言いは、どうして「古きは正義、新しきは悪」に固執しているのだろう。

    サイトで称える話題はすべて古参の店舗のみ。
    新規出店(特にチェーン店)については、上から目線で不快な表現ばかり。

    このままでは西荻窪は、道が狭く往来は危険となり、建物が古く倒壊の恐れが進み、そしてお金を落とさない高齢者だけの街になりませんか?

    世界遺産?ふざけるのもいい加減にしてください。
    あそこで火事が起これば、どれだけの被害になるかわかりませんか?

    老朽化が進んでいる建物は新しくし、狭い道は広くし、残すべき文化はその新しきものの中に内包し、住民あるいは訪れる人々の利益の最大化を目指すべきではないですか?

    あなたの言っていることは「老害」そのものです。

    長く住んでいる人が偉いわけではない。